第一章[presage flower]
「もしわたしが悪い人になったら許せませんか?」 少年は少女を守りたい。そう、思った。 魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉 が、あらゆる願いをかなえる願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」が起きて10年、冬木市で再び戦争が始まった。前回の「聖杯戦争」の参加者である衛宮切嗣の養子・衛宮士郎は遺志を継ぎ、戦うことを決意する。 士郎のそばには、彼を慕う少女――間桐桜がいた。 天涯孤独だった士郎と優しい日々を過ごしていた。 だが「聖杯戦争」が始まると、冬木の町に流れる空気が変わった。あちこちで殺人事件が起き、不穏な空気が流れ始める。士郎は桜を自宅に泊めることを決意した。 士郎は召喚したサーヴァント・セイバーとともに、魔術師の遠坂凛と同盟を結び「聖杯戦争」に臨む。だが、その戦いは暗躍する者たちによって大きくきしみ、歪み始めていた。
第二章[lost butterfly]
「俺の戦うべき相手は――まだこの街にいる」少年は選んだ、自分の信念を。そして、少女を守ることを。魔術師<マスター>と英霊<サーヴァント> が願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。10年ぶりに冬木市で始まった戦争は、「聖杯戦争」の御三家と言われた間桐家の当主・間桐臓硯の参戦により、歪み、捻じれ、拗れる。臓硯はサーヴァントとして真アサシンを召喚。正体不明の影が町を蠢き、次々とマスターとサーヴァントが倒れていった。マスターとして戦いに加わっていた衛宮士郎もまた傷つき、サーヴァントのセイバーを失ってしまう。だが、士郎は間桐 桜を守るため、戦いから降りようとしなかった。そんな士郎の身を案じる桜だが、彼女もまた、魔術師の宿命に捕らわれていく。「約束する。俺は――」裏切らないと決めた、彼女だけは。少年と少女の切なる願いは黒い影に塗りつぶされる。
第三章[spring song]
「俺は、桜にとっての正義の味方になるって決めたから」
少年は、真実からもう目を逸らさない。
少女を救うために。自分の選んだ正義を貫くために。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が万能の願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。その戦いは歪んでいた。
ひとりの少女――間桐 桜は犯した罪と共に、昏い闇に溺れてしまった。
桜を守ると誓った少年・衛宮士郎は遠坂 凛と共闘し、「聖杯戦争」を終わらせるため、過酷な戦いに身を投じる。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者として、その運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して己が悲願を叶えようとする。
「だから──歯をくいしばれ、桜」
激しい風に抗い、運命に挑む少年の願いは、少女に届くのか。
終局を迎える「聖杯戦争」──。最後の戦いが、遂に幕を上げる。