声優、歌手としてのみならず、舞台やTVドラマへの出演で女優としても進境著しい坂本真綾が、『水の女』を手がけた映画監督、杉森秀則とタッグを組んで初主演したショート・ムービー。音楽の菅野よう子は今回、エグゼクティブ・プロデューサーも務めている。
「黒は嫌いだ」と呟きながら、カラスをボウガンで殺し続ける少年と、彼の前に現れた全身黒づくめの奇妙な少女の交流の顛末。全編渋谷ロケで綴られる、冷たくファンタジックな都会のおとぎ話だ。
渋谷の風景そのままに、躍動感と空虚感の入り交じる演出に思わず引き込まれる。坂本真綾は、川に顔まで浸かったり、粉の中をころげ回ったりと、文字通り体当たりの演技を披露。持ち前の透明感を最大限に生かし、少年の心を溶かしていく少女の不思議な優しさ、そして脆さを表現している。(安川正吾)